Microsoft Power Automate を使って kintone のデータをオンプレミスデータベースに書き込む
はじめに
クラウドの kintone とオンプレミスのデータベースを連携できたら便利ですよね。
kintone に登録した情報を自動で社内のデータベースに連携できれば、たとえば社内の販売管理システム等、基幹システムとの連携にも利用できそうです。
ですが、クラウドとオンプレミス間の連携となると、難易度が高そうなイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?
これが実は、ノーコードで実現できるんです。
今回は Microsoft Power Automate(以降、Power Automate)を使います。
オンプレミス データ ゲートウェイ経由で kintone に登録したデータをオンプレミスの Microsoft SQL Server に連携する方法を紹介します。
オンプレミス データ ゲートウェイとは、クラウドサービスとオンプレミスデータ間のデータ転送を可能にする Microsoft 社が提供しているサービスです。
概要については、
オンプレミス データ ゲートウェイとは?
を参照してください。
また本記事では、Microsoft SQL Server 2019(以降、SQL Server)を利用します。
注意点
kintone コネクタの注意点は、 kintoneコネクタ(Microsoft Power Automate)を使う前に知っておきたいこと を確認してください。
結果
kintone アプリにレコードを登録すると、その内容が SQL Server 上のデータベースにも登録されます。
kintoneの設定
アプリの準備
今回は、kintone 上に簡単な見積アプリを作成して動作を確認してみます。
フィールドの設定
フィールド名 | フィールドタイプ | フィールドコード |
---|---|---|
見積番号 | 文字列(1行) | quote_no |
見積日 | 日付 | quote_date |
商品名 | 文字列(1行) | product_name |
単価 | 数値 | price |
数量 | 数値 | quantity |
合計金額 | 数値 | total |
作成したアプリ ID は Power Automate の設定で利用します。
社内データベース (Microsoft SQL Server) の設定
SQL Server 側に、kintone の見積アプリに対応するデータベースを作成します。
作成方法は データベース スキーマの作成 等を参考にしてください。
SQL Server の準備
データべース名 | テーブル名 |
---|---|
発注依頼 | Table_01 |
列名 | データ型 | NULLを許容 | 備考 |
---|---|---|---|
見積番号 | nchar(10) | - | |
見積日 | date | - | |
商品名 | nchar(10) | - | |
単価 | int | - | |
数量 | int | - | |
合計金額 | int | - | |
id_num | int | - | 主キー |
row_version | timestamp | - |
オンプレミス データ ゲートウェイの設定
オンプレミス データ ゲートウェイの準備
今回は、SQL Server と同じサーバー上にオンプレミス データ ゲートウェイ(標準ゲートウェイ)をインストールします。
ゲートウェイのダウンロードおよびインストール方法については、
オンプレミス データ ゲートウェイをインストールする
を参照してください。
注意点
-
インストール時、リージョンは「Japan East」を選択します。
-
オンプレミス データ ゲートウェイと Power Automate を接続するためには、下記 2 種類のログイン情報を使用します。
-
オンプレミス データ ゲートウェイを実行する「ゲートウェイサービスアカウント」
-
オンプレミス データ ゲートウェイと Power Automate を接続する「Office 365 アカウント」
それぞれの設定方法は次のとおりです。
ゲートウェイサービスアカウントの設定
オンプレミス データ ゲートウェイのインストール後、「サービスの設定」>「アカウントの変更」をクリックします。
「アカウントの変更」をクリックします。
Service account に、ローカルアカウントの情報(コンピュータ名\ユーザー名)とパスワードを入力します。
Office 365 アカウントの設定
Office 365 のログイン情報を利用して、オンプレミス データ ゲートウェイと Power Automate と連携させます。
オンプレミス データ ゲートウェイのセットアップ完了後、以下の画面で Office 365 のログイン情報を入力します。
サインインすればセットアップ完了です。
-
Microsoft Power Automate の設定
続いて Power Automate を設定します。以下のようなフローを作成していきます。
オンプレミス データ ゲートウェイの表示
まず、
オンプレミス データ ゲートウェイの設定 でセットアップしたゲートウェイが、Power Automate 側に表示されるか確認しましょう。
表示方法については、
Power Automate でオンプレミス データ ゲートウェイを管理する
を参照してください。
kintone コネクタの設定
ゲートウェイの表示が確認できたら、続いて kintone コネクタを設定していきます。
今回は
Office365 連携! - Microsoft Power Automateを使ってkintoneのデータをOutlookの予定表に登録する - と同様の手順で設定します。
SQL Serverコネクタの設定
アクションの選択では、「SQL Server」の「行を挿入する(V2)」を選択します。
続いて、接続する SQL Sever を設定していきます。
右側の「...」をクリックし、「新しい接続の追加」を選択します。
ゲートウェイにチェックを入れて、接続する SQL Server の情報を入力します。
入力すると、次の画面でサーバー名、データベース名、テーブル名が選択できます。
選択するとカラムの内容が表示されるので、そこに対応する kintone のフィールドを設定していきます。
これで設定は完了です!
動作確認
設定できたら、フローを保存して、kintone アプリにレコードを追加してみましょう。
SQL Server に kintone で追加したデータが登録されたら成功です。
登録されない場合は以下の 3 ヵ所でエラーが発生していないか確認してください。
- Power Automate の実行履歴
- kintone アプリの Webhook ログ(アプリの設定 > Webhook > Webhook ログ)
- cybozu.com 共通管理の監査ログ
cybozu.com 共通管理で「error type: SERVER_ERROR, status code: 404」が出力される場合は kintone アプリの Webhook 設定と Power Automate の kintone 接続が合っていない可能性があります。
kintone アプリの Webhook 設定を削除して、 Power Automate の kintone 接続を再設定してください。
終わりに
クラウド上の kintone とオンプレミスのデータベースが連携できれば、さらに kintone 活用の幅が広がりそうですね。
本記事では「kintone → SQL Server」の連携について紹介しました。
その他にも、「SQL Server → kintone」の連携や、レコード更新/削除時の連携、また Power Automate 側にコネクタがあれば SQL Server 以外のデータベースとも連携可能です。
ぜひ参考にしてみてください。