kintoneコネクタ(Microsoft Power Automate)を使う前に知っておきたいこと

著者名:竹内 能彦(サイボウズ株式会社)

目次

はじめに

Microsoft Power Automate (External link) を使うとノーコーディングでさまざまなサービスと連携できます。
非常にワクワクします。そのワクワクを kintone でも!と 2018 年 1 月に kintone コネクタをリリースしました。

なんでもできそう!?と思いがちな kintone コネクタですが、事前に検討すべきポイントがあります。
今回はそのポイントを 11 選としてまとめました。
今後も継続更新しますので定期的にチェックしてください!

1. kintoneコネクタの機能一覧

kintone コネクタ(トリガーとアクション)の機能一覧になります。
kintone コネクタ(トリガー)は Webhook 機能を使っているため、Webhook は参考までに掲載しています。

今後のバージョンアップでトリガーやアクションの追加対応を予定しています。お楽しみに!

操作 kintoneコネクタ(トリガー) kintoneコネクタ(アクション) Webhook(トリガー)
ブラウザー/kintoneモバイル レコード登録(再利用含む) 対象外
レコード編集(変更履歴からのリバート含む) 対象外
レコード削除 対象外
レコード一括削除 × 対象外 ×
レコードコメント書き込み 対象外
レコードステータス変更(ステータスが進んだときのみ) 対象外
REST API レコード取得 × × ×
レコード登録
レコード一括登録 × × ×
レコード更新
レコード一括更新 × × ×
レコード削除 × × ×
複数アプリへのレコード一括処理 個々の処理に準ずる *1 × 個々の処理に準ずる *2
Excel/CSV 読み込み × - ×

*1 レコード登録/レコード一括登録を一括処理した場合、レコード登録のみ動作します。 ^

*2 レコード登録/レコード一括登録/レコード更新/レコード一括更新を一括処理した場合、レコード登録/レコード更新のみ動作します。 ^

2. 利用できるのは有償プランのみ

Premium コネクタとして Microsoft Power Automate の有償プランでのみ提供しています。
Office 365 の同梱版では利用できないためご注意ください。
詳細は Microsoft Power Automate のプラン (External link) を確認してください。

3. cybozu.com 共通管理の設定変更が必要

kintone コネクタを利用するには外部サービスとの連携を許可する必要があります。
詳細は ユーザーに外部サービスとの連携を許可する (External link) を確認してください。(cybozu.com 共通管理のシステム管理者権限が必要です)

4. 「Webhookの送信を許可する」を有効にする必要がある

「Webhook の送信を許可する」が有効になっていない場合、kintone コネクタ(アクション)は利用できますが、kintone コネクタ(トリガー)は利用できません。

kintone コネクタ(トリガー)を利用するには、cybozu.com 管理画面で「Webhook の送信を許可する」を有効にする必要があります。設定方法は「 Webhookの送信を制御する (External link) 」を確認してください。

5. ゲストスペース内アプリでは使えない

ゲストスペース内アプリではトリガー、アクションともに使えません。

Microsoft Power Automate の HTTP アクションを使用することでゲストスペース内アプリに対して kintone REST API を実行できます。
詳しくは Microsoft Power Automate の HTTP アクションで任意の kintone REST API を実行する を確認してください。

6. Webhookの通知数には上限がある

kintone コネクタ(トリガー)が利用している Webhook の通知は、ドメイン単位で 1 分間に 60 回まで送信されます。

1 分間に 60 回を超えてレコードを操作すると、61 回目以降の操作では Webhook の通知が送信されません。

7. IPアドレス制限時の利用可否

cybozu.com で IP アドレス制限を利用する場合は、下記 IP アドレスを許可する必要があります。
2018 年 3 月時点では、次のすべてのサービスの IP アドレスを許可してください。

IP アドレスを許可しない場合は kintone コネクタ(アクション)は使えません。
詳細は以下の表を確認してください。

kintoneコネクタ(トリガー) kintoneコネクタ(アクション)
Basic認証 ×
セキュアアクセス ×

8. SAML認証時は利用可能

SAML 認証時は kintone コネクタのトリガーやアクションが使えます。
注意事項ではありませんが、気になる方もいらっしゃると思うので記載してあります。

9. kintoneコネクタ(トリガー)で取得できるフィールド

以下の表を確認してください。

取得可否 備考
文字列(1行)
リッチエディター HTML コードを含む文字列として扱われます。
例:<div><b>あいうえお</b></div>
文字列(複数行)
数値
計算
ラジオボタン
チェックボックス 配列として扱われます。
複数選択 配列として扱われます。
ドロップダウン
日付
時刻
日時
添付ファイル 以下のプロパティを取得できます。
  • contentType
  • fileKey
  • name
  • size
ファイルの実体は取得できません。
配列として扱われます。
リンク
ユーザー選択 以下のプロパティを取得できます。
  • code
  • name
配列として扱われます。
組織選択 以下のプロパティを取得できます。
  • code
  • name
配列として扱われます。
グループ選択 以下のプロパティを取得できます。
  • code
  • name
配列として扱われます。
関連レコード一覧 ×
ルックアップ
グループ グループに含むフィールドも通常フィールド同様に取得できます。
テーブル × テーブル内フィールドは取得できません。
レコード番号
作成者 以下のプロパティを取得できます。
  • code
  • name
作成日時
更新者 以下のプロパティを取得できます。
  • code
  • name
更新日時
Record URL
kintoneコネクタ用の要素
Webhook notification ID
kintoneコネクタ用の要素

Webhook のレコード削除トリガーでは、フィールドの内容を取得できません。
kintone コネクタのみの利用では、削除をトリガーとした連携先の情報削除はできません。削除フラグを用意するなどの運用をご検討ください。

取得できるパラメーターの詳細は Webhook(レコード削除) (External link) を参照してください。

10. kintoneコネクタ(アクション)で設定できるフィールド

以下の表を確認してください。

取得可否 備考
文字列(1行) 自動計算が有効な場合は設定できません。
リッチエディター HTML コードを含む文字列として扱われます。
例:<div><b>あいうえお</b></div>
文字列(複数行)
数値
計算 ×
ラジオボタン
チェックボックス ×
複数選択 ×
ドロップダウン
日付
時刻
日時
添付ファイル ×
リンク
ユーザー選択 ×
組織選択 ×
グループ選択 ×
関連レコード一覧 ×
ルックアップ ルックアップのコピー先フィールドは設定できません。
グループ グループに含むフィールドも通常フィールド同様に設定できます。
テーブル × テーブル内フィールドは設定できません。

11. Microsoft Power Automate の設定者=リクエストの実行者である

Microsoft Power Automate の設定者=リクエストの実行者になります。

例 1)kintone のレコード登録時に Outlook 予定表を登録する
アクション「Office 365 Outlook - イベントの作成(V2)」には開催者(実行者)を指定する機能がありません。
そのため、この場合は Microsoft Power Automate の設定者が開催者(実行者)になります。

例 2)Outlook 予定表が登録されたら、kintone にレコード登録する
同様に、Microsoft Power Automate の設定で kintone にログインしたユーザーがレコード作成者(実行者)になります。

12. エラー対応でできること

kintone の Webhook でエラーが発生した場合、リトライ機能やメール通知機能はありません。

Microsoft Power Automate でエラーが発生した場合は、リトライ機能を利用できます。
オプションの設定メニューから再試行ポリシーを設定できます。

エラー発生時に通知させる方法はありますが、標準の通知機能では Microsoft Power Automate 設定者のみへの通知になります。

まとめ

2018 年 3 月時点では kintone コネクタの機能が一部しかありません。
また、能動的なエラー対応が必要なことから、大規模環境やエラーが許されない状況での利用は難しそうです。

とはいえ、ノーコーディングで連携できることは大きな魅力となり、個人や小規模環境ではさまざまな使い道がありそうです。

今後のバージョンアップに期待しつつ、計画的に利用しましょう!

更新履歴

  • 2020 年 11 月 26 日「Webhook の通知数には上限がある」を追加しました。
  • 2019 年 4 月 4 日「kintone コネクタ(アクション)で設定できるフィールド」を追加しました。
  • 2018 年 11 月 1 日「kintone コネクタの機能一覧」を更新しました。
  • 2018 年 4 月 26 日「ゲストスペース内アプリでは使えない」を追加しました。